ネット向けサービスで最もコストがかかるのはデータを移動すること

最近まで、ネット向けサービスのシステム再構築の仕事をしていました。構築してから数年が経過したシステムの再構築のお話をいただく機会は意外と多くて、その度ごとにコスト計算をするのですが、インターネット接続料金が全く安くならないんですよね。

4年前に構築したシステムで、サーバを25台くらい使っていたシステムが、今では1台のサーバに仮想環境を構築して動いてしまったりします。これはデータセンタの場所代や電気代に直結するため、月々に必要なコストがとても削減できるのです。全ての機器を仮想環境で動作させられるわけではないのですが、場所代と電気代が1/3くらいになりました。自分で提案&構築をしていてなんですが、こんなに効果があるとは思ってもいませんでした。そして、システムは移行前と変わらず動き続けています。仮想化技術が発展したことも大きな要因の一つなのですが、CPU・メモリ・外部記憶装置が高機能・高性能になりつつ価格が下落していることが最も大きな要因だと思います。技術の発展ってすごいです。

ところが、4年前からほとんど価格を下げることができなかったのがインターネットの接続料金なのです。常時100Mbpsを超えるデータが流れているため、上位プランを利用しているということもあるのですが、ほんの少ししか価格を下げることができませんでした。家庭向けのインターネット接続料金はどんどん安くなっている印象がありますが、エンタープライズ向けの料金は "驚異的" というほどの価格変動は起きていないのです。そして、これから数年先を見ても、エンタープライズ向けのインターネット接続で、"驚異的" と思えるほどの価格変動が起きる気配もありません。


結果的に、ネット向けサービスで最もコストがかかるのがデータを移動することなのです。


通信業界が技術発展の努力をしていないというわけではありません。高速通信技術は日々進歩しています。でも、それが利用者が負担するコストに反映されないんです。

オンライン上のデータはどんどん増えているのに、それらのデータを移動するためのコスト(お金&時間)は、ほとんど変わらないままです。「HDDにデータを保存して宅配便で送ったほうが、速いし安いんじゃないですかねー」という、昼休みの雑談で出た話がホントに採用されそうでは怖いです。Web業界で仕事をしている一人として、本当にインターネット接続コストは下がって欲しいです。通信業界の皆様、なにとぞよろしくお願いします。