病院にもフィードバックを

私たちが仕事で作っているものをお客様に届けると、ある時点で「良かった」とか「悪かった」などの結果を教えてもらえます。丁寧なお客様であれば、「○○が良かった」とか「○○が良くなかったので、今後は△△にして欲しい」などの要望を頂くこともあります。一生懸命頑張った直後にダメ出しをされると、その場では凹んでしまうこともありますが、長期的な視点で見れば、このような指摘をいただけるお客様は大変ありがたい存在です。お客様の素直な意見を、今後の結果に反映させることができるからです。これは私たちのようにBtoBで仕事をしている人だけでなく、BtoCでお仕事をされている方も、お客様からの声という形で手に入れることができます。


しかし、「病院」はこれらの情報を手に入れることができない特別な業態です。
例えばある患者(Aさん)が体調不良になり、町のクリニックに行ったとします。クリニックの医師は診察の結果、薬をAさんに処方します。Aさんはそれ以降、そのクリニックに来ることはありませんでした。
この場合、Aさんには何が起こったのでしょうか?

  • クリニックで処方された薬で病気が完治した。(→成功)
  • 処方された薬では体調が改善せず、他の病院の診察を受けた。(→失敗)
  • 実はAさんは大病であったため亡くなってしまった。(→大失敗)

クリニックは、成功か失敗かという結果すら知ることができません。医師にとっては、自分の仕事の結果が適切であったのかを知る術が無いのです。ここに町の医療が成長せず、大病院志向が高まる理由があると思います。


仮に私たちが顧客からのフィードバックを完全に遮断された環境で仕事をしているとするとどうでしょう?製品やサービスを開発している私たちには、顧客からの苦情はもちろん、売上高すら伝えられないという環境です。このような環境で、素晴らしい製品やサービスを作ることができるでしょうか?答えはNOです。きっと自己満足が詰め込まれた誰からも支持されないモノが出来上がることでしょう。*1

私たちは、顧客からの声を今後の活動にフィードバックすることで成長していきます。
良かった点はより強化していき、悪かった点は改善しようとします。これが企業を成長させる原動力になっているのです。


そこで、「病院にも顧客からのフィードバックを与える機会を作ろう」というのが今回の主張です。
大きな仕組みを作ることは困難ですので、まず手始めに診察後にアンケートはがきを配ってはどうでしょうか。
アンケートの内容は、識別番号(受付で予め書いておく)と「1. 良くなった」「2. 改善しないので他の病院に行くことにした」「3. 悪くなった」という選択肢だけで十分です。あとはポストにポイっと。
顧客の声を生かすことで、きっと町の医療も成長していくことでしょう。

*1:実際にこんな会社も存在していますが。