すごい組織(前編)

NTT労働組合(加藤友康委員長、組合員約18万人)は13日、春闘での賃金改善要求を見送る方針を発表した。
固定通信の減収が続いていることに加え、インターネット関連の業績が伸び悩むなど厳しい経営環境を考慮した。一時金は前年並みを要求する。15日に正式決定する。
また、NTT労組は、厚生年金の支給開始年齢の引き上げなどを受け、65歳まで働ける制度の導入の検討をグループ各社に求める方針だ。

NTT労組、春闘の賃金改善要求を見送りへ

毎年恒例の春闘の記事です。この記事で最も驚いたのは、組合員が18万人もいるということです。18万人といったら、田舎の市区町村レベルの人口です。
NTT労組の組合費がいくらかわかりませんが、5,000円とも7,000円とも言われています。少なく見積もって5,000円としても、

5,000円/月 × 18万人 = 9億円/月
9億円/月 × 12ヵ月 = 108億円/年

ということで年間100億円以上の予算がある組織なのです。もし月間組合費が7,000円だとすると150億円規模です。これは本当にすごい組織だと思います。
そして、これだけの予算を獲得していながら賃金改善要求を見送るということです。組合員の方々は税金には文句を言っても、組合費には文句を言わないのか本当に疑問です。組合費を払わないほうが、手取り収入は増えるのではないかと思います。


ここから下はNTT労組とは関係ありませんが…。


これだけのお金を動かしているのですから内部監査なども実施されていることと思いますが、企業経営よりも厳しくチェックされていることはありません。この結果、労働組合自体が既得権益集団となっているのではないかと考えられます。厳しいチェックを受けない組織が腐っていくのは、これまでの政治や行政組織を見ていてもよくわかります。顧客=お金を出す人(=組合員)のことを考えずにこれだけの予算が使えるとしたら、どのようなことができるでしょうか。ちょっと考えてみました。

  • 社内食堂を始めとする業者は労働組合の息のかかった企業を入れます。もちろん、労組関係者からの天下り先も確保します。
  • 社内の売店自動販売機の設置も非常においしい利権です。ここももちろん押さえます。
  • 研修や学習会を温泉地などの高級ホテルで開催します。参加者は組合幹部または将来有望な組合員限定。
  • 経営陣への働きかけを行います。株主の監視下にある経営陣よりも自由になるお金は多いですからね。
  • 社内の人事権を握ります。労働組合幹部だけが着任できるポストを作ります。
  • 政治に働きかけます。これだけのお金があれば国会議員の一人や二人余裕でしょう。
  • あまり利益誘導ばかりを行うと煩いので、“社会貢献活動”と称して環境保護活動や弱者救済活動を行い社会の目を逸らします。

想像だけで書いてみましたが、最近になって明らかになった大阪市労働組合の働きを見ていると、同様のことが起こっていると考えても不思議ではありません。
ちなみに、公開したくない用途のお金は、「○○活動費」や「会議費」に紛れ込ませるのが定石です。労働組合が組合員から信頼されているのかわかりませんが、まずは全ての領収書を公開することから始めてみてはいかがでしょうか。(もしかして組合員には公開されているのかもしれません。)

労働組合についてはもう少し書きたいのですが、続きはまた次回。