納得できないけど納得できる話

「あぁ、そうなんだ〜」と気づかされた記事がありました。

ツイッターでもフェイスブックでもそうだが、
よほどのバカでない限り、
わざわざ違う意見の人に絡んだりはしない。

ネット世論と選挙結果がなぜ違いすぎると感じるのか? : 好きを仕事にする大人塾=かさこ塾塾長・メッセージソングライター・キャリア教育講演家かさこブログ

私はこの記事で触れられている「バカ」のほうに分類されるタイプです。というのも、自分と異なる意見やバックグラウンドを持つ人のほうが興味があるんですよね。「どうして、そのような結論になったんだろう?」という点に純粋に興味があるから。それに、自分と同じ意見を持っている人よりも、自分と異なる意見を持っている人からの情報のほうが、学ぶ要素がたくさんあると思うんですよね。

人が何かの「意見」を出力するためには、

(1) 思考の基盤となる情報の入力
(2) 思考
(3) 結論(意見)の出力

という手順を辿ります。そのため、自分と異なる意見を持つ人は、

(a) 自分が保有していない情報を持っている
(b) 思考のプロセスが異なる
(c) 優先する価値観に差異がある

のどれかだと思います。

もし(a)なのであれば、どのような情報を持っているのかを知りたいですし、自分ももっともっと勉強しようと考えます。もし興味がある分野で、情報の出典となる書籍や文献があるのであれば、その出典にも触れてみたいです。もしかしたら、自分の結論(意見)も変わるかもしれません。もし(b)なのであれば、どのような思考プロセスでその結論に辿りついたのかを知りたいです。私が完全に論理的かつ合理的な判断をしているとは限りませんから、将来にわたって正しい判断をするための勉強になると思います。(c)は思想・信条のようなものですので議論になる余地は少ないのですが、世の中にはどのような価値観を持っている人がいるのかを知る貴重な機会になると思うからです。

もちろん同じ情報が入力されれば、常に同じ結論(意見)が出力されるとは限りません。世の中には不確定要素がたくさんあります。入力された情報の完全性や信頼性の重みづけが異なることもあります。その点においても、「何故、この人はこのような結論に達したんだろう?」という点は、本当に純粋に興味があります。だから、自分と異なる意見を持っている人の情報に積極的には触れるようにしています。その結果、結論には納得できないけど、その結論に達したプロセスは納得できるということもよく経験しています。(この場合の意見の差異は、(c)であることが多いんですけどね。)


引用元の記事で原子力発電所のことに触れていましたが、福島第一原子力発電所の事故が発生した当時の管首相、枝野官房長官、海江田経済産業大臣は大変な苦労をされたと思います。たくさんの情報が入ってきた後で彼らの判断を批判することは簡単ですが、事故当時のように情報が少なく、不確定要素が多い中で、彼らが「どのような思考プロセスで、何を優先して結論を出して行動したのか」という点はとても重要だと思うんですよね。そして、それらの意見に触れることができる書籍が下記です。


東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書)

東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書)

叩かれても言わねばならないこと。

叩かれても言わねばならないこと。

『海江田ノート』原発との闘争176日の記録

『海江田ノート』原発との闘争176日の記録

また当事者の書籍ではありませんが、もう一冊紹介。


池上彰の講義の時間 高校生からわかる原子力

池上彰の講義の時間 高校生からわかる原子力

海江田氏と池上氏の書籍はまだ読んでいないのですが、特に池上氏のこれまでの著作は「私は皆さんに情報を提供しますので、結論を出すのは読者の皆様ですよ」という立ち位置でしたので、本書でも冷静に非当事者の視点が得られるのではないかという期待を込めての紹介です。

重要な局面では、優先する価値観や哲学が結論を大きく変えてしまうことが多いので、日頃からたくさん会話をしてお互いの価値観を共有することは大事だなぁと思います。