これから社会に出ようとする15年前の自分へのメッセージ

12月1日、企業の採用活動が開始されました。

私が大学生の頃、インターネットを使った就職活動は行われていませんでした。セミナーの申し込みはハガキで申し込んでいましたし、企業からの連絡は自宅の固定電話に来ていました。携帯電話を持っていた学生が少数派という事情もありましたが、「電波状態の悪い携帯電話で電話を受けることは失礼である」とか「携帯電話を持っている学生は遊んでいると思われてイメージが悪い」とも言われていたためです。企業からの電話はいつかかってくるかわからないので、自宅から一歩も外に出られないという学生も多くいました。社会人を経験した今となっては「いやいや、考えすぎでしょ。」と思えますが、当時の学生はとても不安でいっぱいでした。だから今の学生も不安でいっぱいだと思いますし、都市伝説のようなことも信じられたりしているんだろうと思います。先が見えない未来に対して不安を抱くのは当然のことです。だから、その不安はしっかりと受け止めて、いろいろなコトをたくさんたくさん考えると良いと思います。

あちこちのブログの記事を見ると、様々な方が就職活動中の学生に向けたメッセージを発信してます。私も何か書きたいと思いましたが、私自身はいわゆる新卒の就職活動を経験したことがない上、採用活動に関わってからも随分時間が経過したので、15年前の自分自身に向けたメッセージを書きたいと思います。

仕事は人生の中の一部でしかない

目の前に人生を左右する大きな選択があると、それに目が奪われてしまい、その先にある事が見えなくなってしまいます。「自分はどういう仕事がしたいのか?」という疑問を持つ前に、「自分はどういう人生を歩んでいきたいのか?」という点を考えるべきです。仕事は人生を構成する中の一要素にすぎないからです。「40歳くらいになったら地元に戻って生活したいな」と考えているのに、首都圏の地方公務員になろうとするのは間違った選択です。*1人生の目標が定まっていないのであれば、まずは目標を決めましょう。そして、これから就職しようとする仕事や会社が、その目標への経路上に存在しているのかをじっくり考えましょう。その結果、人生の目標を修正するのもいいと思います。

自分が頑張れば目標を達成できると考えるのは大きな勘違いです。世の中に出てみると、自分の力だけではどうにもならないことがたくさんあって、それらの影響をたくさん受けます。その影響は悪いことだけではなく、これまで自分が知らなかった新しい世界を知るきっかけになることもあります。その時には、また目標を修正したらいいだけですからね。

わりとどうにかなる

目標を決めて、それに対して一生懸命進んでいくのもいいと思います。でも、その途中で失敗したからといって挫ける必要はありません。結果的になんとかなります。
事実、過労 → 病気 → 休職 → 転職と経験してきましたが、今のところ結果的になんとかなってます。挫折しなかったら、もっと素晴らしいものが待っていたかもしれませんが、待っていなかったかもしれません。得ることができたかどうかわからない失ったものに執着しても良い結果は得られません。

ただし忘れてはいけないことが2つ。

(1) 目標を常に持って、最善と思える戦略を選択すること
(2) 挫折した時には、周囲に対して適切に助けを求めること

結果的になんとかなるためには、それなりの準備が必要なことも忘れないでくださいね。

今しかできないことを経験する

今しかできないことを経験しましょう。
「学生の本分は勉強である」とか「若いうちの苦労は買ってでもしろ」とか言う人がいます。でも気にしないでください。

学ぶことは重要ですが、それは大学の勉強から得られることだけではありません。世の中には、「20歳代前半でなければできないこと」や「学生という立場でなければできないこと」、「今の時代でなければ経験することができないこと」がたくさんあります。
具体的な一例を挙げるなら、企業見学やインターンシップは学生の時しか経験することができません。一度就職してしまうと二度と受け入れてはくれないのです。当たり前ですよね。競合他社の社員を、自社の営業情報に触れさせてくれるお人好し企業はありませんからね。同じように「今しかできないこと」は、世の中にたくさんあります。「将来役に立つこと(←本当に役に立つかわからないこと)」を経験するよりも、「今しかできないこと」を積極的に経験しましょう。その経験は、きっと貴重な財産になります。ちなみに、"新卒"での就職活動も「今しかできないこと」であることを忘れないでくださいね。

あと、"苦労"はわざわざ買わなくても、数年したら望んでいなくても苦労することになるので心配はいりません。


このエントリは、あくまで15年前の自分に向けたメッセージです。未来のことは誰にもわからないですし、その結果に対して誰も責任をとってくれるわけではありませんからね。でも、たとえ失敗したとしても、それが自分で考えた結果なのであれば納得できるんじゃないかな、と思います。

*1:実はやっちゃうところでした。