家族計画について

女性手帳」が話題になっています。うっかり触れると炎上するんじゃないかというレベルで盛り上がってます。
少子化」と「女性」という2つのキーワードが密接に結びついている点が、世の中から反発を受ける理由の一つであるように感じます。女性手帳の現物を見ていないのでコメントは控えますが、今回は一般論としての家族計画に関する教育機会について書いていきます。


私は子どもの頃にまともな性教育を受けていません。教わったのは「精子卵子が出会うと子どもができます」という点だけ。片田舎の小学生は「精子卵子が "どうやったら" 出会うのか」を知りませんでした。いや、知ってた小学生もいたと思いますけど、私だけが知らなかったとは思えないので、そういう子どもも一定数はいったんじゃないかな。両親もこの手の話題は避けていたので、学校で教わらないと知る機会を得ることはできませんでした。もちろん、結婚・妊娠・出産というイベントの生物的な意味だけでなく、社会的な意味についても知ることはありませんでした。

とはいえ、中学生や高校生になってくると、非正規ルートでこのような情報に触れる機会が出てきます。ところが、非正規ルートで入手した情報から伝わってくるのは、「どのようにしたら性行為をしても妊娠しないか」という点です。今でこそ結婚前の妊娠が増えてきましたが、私たちが20代の頃はまだまだ受け入れられているとは言えない世の中でしたので、避妊方法に関する情報はたくさんあったような印象があります。

望まない妊娠を避けるための情報が入手できるというのは、それはそれで大事なことなのですが、「性行為をすると当然のように妊娠する」という意識が知らない間に植え付けられていました。(これが間違いだと知るのは、ずいぶん後になってからです。)以前、松本隆博さんの講演を聞く機会があったのですが、同様の考え方を持った人は多いという話を聞いたことがあります。

さて、結婚して子どもを意識するようになると、「子どもが生まれるのは想像以上に難しい」ということを身をもって知らされるわけです。男女双方の体のリズム(女性のほうが圧倒的にコントロールが難しいという事実)もありますし、そこから受精して着床して妊娠して出産するというのは、本当にものすごい偶然が重なった結果なんですよね。その途中で不幸な結果になると、数カ月とか1年単位で計画がズレていく上に、精神的な負担もとても大きい。そして、このような事例は決して稀なことではなく、当たり前のように発生していることなのです。


私たちの世代の性教育は、望まない妊娠を避ける方法に偏っていたように感じます。それが少子化に直結していると主張するわけではありません。しかし、子どもを望んだ時に、正確な知識や情報が圧倒的に不足していたことを知らされました。これは男性・女性に関わらずです。「女性手帳」がどのような結論になるかはわかりませんが、望む人が正確な情報を入手できるような施策が行われるという点においては、それはそれで大切なことだと思うのです。