みずほ銀行ATM休止に思うこと

みずほ銀行みずほコーポレート銀行が7/1に合併します。これに伴って6/29(土) 午前0時から7/1(月) 午前8時まで、ATMを含めた全てのオンラインサービスが止まっています。
そして、このサービス休止に伴って困っている人たちが続出しているというニュースも出ていました。

みずほ銀行ATM停止で阿鼻叫喚 「油断した」「所持金200円しかない」 : J-CASTニュース

私もみずほ銀行の口座を持っていますが、メイン口座として利用していませんので、それほど意識していませんでした。それでも、「週末にサービスが停止する」という情報は知っていました。ちなみに、私の妻はみずほ銀行をメインバンクにしていますが、サービスが停止することを知らなかったようです。特に困っている様子もありませんでしたけど。

今回は、このサービス休止騒動で考えたことを3つほど書きます。

1. 多くの人がATMのシステムを信頼している

職業柄なのか、私はATMなどのシステムを、特に可用性の点で信用していません。可用性というのは、「サービス提供時間帯に問題なくサービスを受けられるかどうか」ということです。つまり、ATMに行ったんだけど、機械が故障していたとか、停電していたとか、回線が切れていたとか、お金が詰まっていたとか、紙幣が入っていなかったとか、ATMに車が突っ込んだとか、酔っ払いが機械を抱えて寝ていたとかのように、意図していないことが原因で使えない事態がどれだけ発生しないかということです。「銀行が倒産してた」というのも、この中に入るかもしれません。

その点、今回のサービス休止で "所持金200円" になってしまった人は、銀行のシステムをとても信頼しているんだと思います。だって、信頼していなかったら常に現金を家に置いておきますよね。ATMに行けば必ずお金を引き出すことができると考えているからこそ、所持金200円という状況になるわけで、それはATMのシステムをものすごく信頼しているということを意味しています。

個人的には、銀行に預けたお金が無くならなければOKかな、と考えています。これって信用しているのか、信用していないのか・・・。
どちらにしても銀行のシステムに対する期待値は、それほど高くありません。

2. 影響範囲の大きい情報を全ての人に周知するのはとても難しい

今回のサービス休止の案内は、テレビCMなどでも大量に流していたようです。でも、私はそのCMを見たことはありません。何故ならテレビを見ないから。

少し前ならほとんどの人がテレビを見ていたので、全時間帯でCMを流せば、1度くらいは対象の情報に触れることができました。でも、最近ではテレビを見ない人が増加しています。だからといって、ネットの広告に必ず目を通しているかというとそういうこともなく、多くの場合は視界の端っこで流れていってしまいます。

このような世の中で、影響範囲の大きい情報を多くの人に周知することが、とても難しくなっていっているように感じます。「どうしてATMが止まることを知らなかったの?」と聞いてみたところ、

・「いっぱいCMが流れていたらしいよ」 → 「テレビ見てない」
・「みずほ銀行のATMにポスター張ってあったでしょ?」 → 「コンビニATMしか使ってないから見ていない」
・「ATMの画面にお知らせとか出てなかった?」 → 「記憶にない」
・「みずほのWEBページにも大きく出てたらしいけど」 → 「ネットバンク使わないのに、アクセスしないでしょ」

とのこと。う〜ん。。。

今回はATMのサービス休止でしたけど、世の中への影響が大きい情報を多くの人に伝えるのって、どうすればいいんだろうな。
やっぱり個別に郵送連絡しかないのかな?

3. みずほ銀行の本当の勝負は2015年のシステム更改の時

みずほ銀行のシステムが脆弱なのは、2002年4月の第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行の合併の時の不手際に原因があると思います。
3つの銀行のシステムを統合する際、どこが主導権を取るか争った結果、継ぎはぎだらけのシステムが出来上がりました。そして合併のギリギリまで政治争いを行っていたため、システム統合のための十分な時間を確保することができず、大規模障害を引き起こすことになってしまったのです。

その後もみずほ銀行のシステムは刷新されることなく、2011年3月にも再び大規模障害を起こしています。そして現在もそのシステムは動き続けていて、そのシステムが刷新されるのは2015年の予定です。それまでは、でっかい地雷が埋め込まれたシステムを、ずっと使い続けなくてはならないのです。この地雷を踏んだがために、これまでに2人の頭取が辞任に追い込まれています。とりあえず、現頭取はシステム刷新を進めていますので、仮に7/1(月)にトラブルが起こったとしても、頭取辞任まで発展することは無いと思いますけど。

個人的な印象ですが、みずほ銀行のシステムは、大量の処理集中に弱いように感じます。
7/1(月)は週明けで月初でボーナスや給料を引き出そうとする人が殺到する可能性が高いです。利用者の方々も自分の身を守りたいのであれば、緊急ではない現金の引き出しは午後にするのが賢明だと思いますよ。

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2013/07/19追記

7/1(月)は問題なく乗り越えられたようで何よりです。
みずほ銀行発足時のドタバタは、下記の書籍で知ることができますので参考までに。

システム障害はなぜ起きたか~みずほの教訓

システム障害はなぜ起きたか~みずほの教訓