2013年の新卒採用活動が始まりました

2011年12月1日に、2013年3月卒業予定者向けの新卒採用活動が始まりました。前回の就職協定が廃止されたのが1996年ですから、およそ15年ぶりに一斉に採用活動(学生側から見ると就職活動)が開始したことになります。1996年当時はインターネットを利用した就職活動は一般的ではなく、ハガキによるセミナー応募 → セミナー参加 → 本応募という流れが一般的だったように記憶しています。そして就職協定が無かったこの15年の間に、採用活動の中心はインターネットに移行し、そして12月1日という日に一斉に開始しました。そのような理由からか、一部の就職情報サイトはアクセス集中による高負荷でダウンしてしまったそうです。しかし、12月1日にアクセスが集中することは予め予測できていたはず。もちろんアクセス集中を想定した負荷試験も実施していたはずでしょうから、本当に「アクセス集中による高負荷」が原因なのかな、という疑問はありますが、本日の時点ではひとまず安定しているようで何よりです。

今回は、これから就職活動を始める学生側に向けた私の意見を書きます。

今年は東日本大震災があったこともあり、学生に限らず日本人全体が不安な気持ちに包まれています。私も今後のことを考えると、とても不安になります。このような時代背景がある場合、これから就職する学生の中でも「安定感」という評価尺度が重要視され、その結果大企業志向が高まるのではないかと考えています。でも、これは「大企業=安定している」という前提があってのこと。もしこの前提が間違えているならば、安定を求めて大企業に入社したのに、結果的にとても不安定な会社員生活を送らなければなりません。これは、とても困ったことですよね。

だいたいの場合、倒産することで社会に多大な影響を及ぼす企業が消滅することはありません。中小企業から見ると非常に不公平に感じることですが、社会不安を招くような企業倒産は、政府や金融機関が体を張って防ぎます。震災要因があったとはいえ、あれだけ大規模な事故を起こした東京電力が存続していることを見てもわかる通りです。やはり大企業は安定しているように見えます。しかし、企業の中を覗いてみるとどうでしょうか。倒産しそうなくらい財務状況が悪化した企業では、不採算部門は切り捨てられ、従業員の整理解雇が行われることもあります。実際問題、日本では解雇をすることは非常に難しいため、部門ごと子会社化して売却するという手段を使うことで、体良くお引き取りいただいていますが、その後その部門で働いていた人がどうなったかを知る機会ってほとんどありません。そう、大企業は企業体としては安定しているように見えますが、その中で働いている人に目を移すと、決して安定しているとは言えないのです。

大企業、ベンチャー企業フリーランス、そして無職も経験した私から見ると、大企業に就職してそのまま5年間も所属していると、他企業に転職することはとても難しくなります。大学を卒業して5年後、大企業に就職した人とベンチャー企業に就職した人を比べてみると、考え方から行動力まで非常に違います。もっとストレートに表現すると、大企業に就職した人は、所属している企業以外では生きていけない体質になっています。人間、最初に経験したことは大変貴重な経験になり、その後の人生にとても大きな影響を与えます。その最初の経験を大企業で過ごすか、ベンチャー企業で過ごすかは、その人自身の人生を左右すると言ってもいいでしょう。

あなたが就職活動をしていて、安定を求めて大企業に応募しているのであれば、本当に安定した人生を送る方法は何であるかを、もう一度ゆっくり考えてみることをお勧めします。