転職活動の勧め

サラリーマンを続けているのであれば、5年ごとくらいに転職活動をすることをお勧めします。
これは転職を勧めているのではありません。今の会社で働き続けるつもりであったとしても、転職活動をすることには大きなメリットがあるからです。

(1) 自分の組織内価値を知ることができる

ひとつの組織に長期間所属していると、その行為に対して価値が与えられます。これは組織に最適化された価値であり、あなたの市場における生の価値ではありません。
生の価値と組織内で与えられる独自の価値の比率が、ある値を超えてしまうことは適切ではありません。
転職活動をすると大変厳しく市場価値を評価されますが、ここで評価されるのは「生の価値」です。そして生の価値と現在の報酬との差分が「組織内で与えられる独自の価値」です。

組織内での独自の価値は、マイナスになることもあります。これは、現在の組織において適切な評価を受けていないということです。
年功序列型組織における若手の方に多くみられる現象です。また、現在の組織に未経験で入社した方も、同様の現象が見られることがあります。

逆に、転職エージェントに依頼して転職活動をしても、適切な求人を紹介してもらえないことがあります。この場合、市場における生の価値はほぼゼロです。
現在の組織において過大評価をされており、年功序列型組織におけるメリットを十分に享受できているということです。
今の組織を解雇されてしまうと、所属する組織がなくなることを意味しています。

(2) 世間の文化と自社の文化のズレを知ることができる

どんなに先進的な仕事をしていたとしても、世間の文化と自社の文化にズレが発生します。
最近では、勉強会などを通して組織の壁を越えた交流を行うことが簡単になりましたので、転職活動を通さなくても世間の文化と触れる機会を手にれることができますが、転職市場に足を踏み入れると強烈にそれを感じることができます。

良くも悪くも、人間は一番最初に経験したことから受ける影響は大変大きいものです。そして、そこで経験したことは、ある種の常識として、その後の考え方や行動に影響を与えます。そのように自覚していたとしても、非常に大きな影響を受けてしまうのが、一番最初の経験の恐ろしいところです。そのため、学校を卒業して新卒採用で入社した会社に所属していると、所属している組織の常識が世間の常識であると勘違いしてしまうことがあるのです。これは、発想の範囲が限定されるという意味でも、もったいないことです。

転職活動を通して接することができた経験が、世間の文化の常識であることはありません。その企業の文化も、また世間の文化の常識からズレているからです。ここで重要なことは、自社の文化と世間の文化に大きなズレがあることを身をもって体験することなのです。

(3) 漠然とした不満や不安を一掃することができる

現状になんとなく不満がある。このままで良いのか不安になる。

そのような考えを持っている方は、転職活動を通して不満も不安も一掃することができます。もし不満も不安も現実のものなのであれば、転職活動を成功させることができます。この結果、現在抱いている不満と不安を一掃することができるでしょう。逆に、不満も不安も非現実的なものであるならば、現在の立場がいかに恵まれているかを実感することができます。こちらも結果的には不満と不安を一掃することができるでしょう。つまり、どのような結果になったとしても、漠然とした不満と不安を一掃することができるのです。

ただし、自分の市場価値が思ったほど高くなかったという現実を突きつけられる可能性はあります。この際に発生する認知的不協和は、別の手段で解消しなければなりません。


今回のエントリでは、敢えて「サラリーマン」という表現を使いました。
自分はビジネスマンであると自覚している。フリーランスで活動している。会社を経営している。という方に今回のお話は関係ありませんが、たまに履歴書を書いてみるのもいいものですよ。